局所治療

Topical treatment

腫瘍のできている部位とその周辺に対して行われる治療

1.強度変調放射線治療(IMRT)

IMRT(強度変調放射線治療)はコンピューターの力を借りて立体的な形状データに基づいて腫瘍に線量を集中させ、逆に正常組織には線量を減らすことが可能な画期的な治療方法です。色んな方向から放射線を腫瘍にあてることができるため、腫瘍の形が不整で複雑な場合あるいは腫瘍が正常組織に包まれた場合でも多くの放射線を腫瘍にあてることが可能です。その理由は従来の放射線治療と違い、IMRTは患者さんの周りを螺旋状に回転しながら腫瘍部位だけ集中的に照射することができます。

2.画像誘導放射線治療(IGRT)

放射線治療器に併設されたCTで照射の直前や照射中に患者さんの画像情報が得られます。そのデータに基づいて放射線治療時、腫瘍の位置を確認しながら誤差を補正し正確に治療することが可能になります。小さな腫瘍に放射線を当てる場合は正常組織を破壊せずに高い精度で集中治療ができ、正常細胞にはダメージを与えないのです。これにより治療効果をあげる同時に副作用を抑えることが期待できます。

3.IVR療法

IVRはインターベンショナル・ラジオロジー(Interventional Radiology)の略血管内治療や画像誘導下治療と呼ばれます。局所麻酔下でX線やCT等の画像を用いて体の中を見ながら細いカテーテルを血管内挿入することや針を使って病変部を刺すことで治療や検査をする手技です。局所麻酔なので身体に負担が少なく病変だけ正確に治療ができ入院期間も短いメリットがあります。中には肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓術(TACE)や血管拡張術(PTA)、交通事故などによる出血からの救命にも有効な治療方法です。
また肝悪性腫瘍に対するラジオ波治療(RFA)は、経皮的(皮膚から体内に針を刺して)に腫瘍に対してラジオ波電極針を直接穿刺します。この電極針周囲に発生する熱エネルギーにより、腫瘍とその周囲を熱凝固壊死(癌細胞が死ぬこと)させて治療します。外科的な切除術と比べ、皮膚表面に小さな針の跡が残るだけで、外科的切除より侵襲性が低い治療法となります。

全身治療

Systemic treatment

がんができている部位だけではなく、全身に対して行われる治療

肉眼的にみえるがんを手術で切除した後に血液中に流れていくがん細胞は、現在の医療技術では確定できません。今までは予防的に全身化学療法を行いましたが、全身の副作用が強く、患者様の体に負担をかけました。弊社は全身化学療法の代わりに最先端の全身療法をご提案します。

1.NK細胞療法

NK細胞はnatural killer細胞の略語で直訳すると『生まれながらの殺し屋』です。名前通り体内に侵入してきた病原体やがん細胞等の異常細胞を指示されなくても攻撃します。NK細胞療法はこのような特徴を持ってる免疫細胞を採取し、体外で人工的に増やす同時に攻撃力を強めてから体内に戻すことによってがん細胞を殺す方法です。患者自身の免疫細胞を使用するため副作用はほとんどなく、患者様の体に負担もかけない優しい治療方法です。

2.樹状細胞ワクチン療法

樹状細胞は免疫細胞の一種でリンパ球にがんの目印を教えて攻撃をさせる「司令官」の役割をしてます。しかしがん細胞が増えすぎると樹状細胞の働きが追い付かなくなり、癌細胞が増殖し続けます。それを解決するために体外で樹状細胞のもとになる単球を採取し、人工的に樹状細胞へ育て、癌の目印を認識させ再び体内に戻す方法を樹状細胞ワクチン療法と言います。本治療は副作用が少なく、長期的にがんを攻撃します。

3.活性化Tリンパ球療法

Tリンパ球には、がんの情報(目印)を覚えることによって、がん細胞を攻撃する兵隊的な性質があります。活性化Tリンパ球療法は、体外でTリンパ球を増やして体内に戻すことによって、弱まった免疫力を回復させてがんを攻撃する方法です。患者様本人のリンパ球を使用するため、副作用が極めて少なく、ほぼ全てのがんに適応できます。

4.がん光免疫療法

体内のさまざまな場所にできたがん組織のごく近くにレーザー光あてて腫瘍を破壊し、その後周囲に散らばったがん細胞を免疫細胞によって駆除させる、二つの作用をもつ治療法です。
がん光免疫療法では、MLDSというレーザー機器や近赤外線ライトなどを使用します。光の感作物質(光と反応する物質)をがん細胞に集中させておき、がん組織に特定の波長の光を照射することで、がん細胞の中に活性酸素を発生させ、がん細胞を自殺に導きます。光の照射は痛みも熱さも感じません。また皮膚の表皮は太陽にあたって日焼けをしても、内臓が痛まないように防御機能があります。このため、治療の光に対しても防御能力があることから、場所によっては局所麻酔などをして皮膚を穿刺し、皮下組織や腫瘍の直近まで光を発射部位に誘導し、照射を行います。また同じように血液中に照射することで、血管内に存在する腫瘍循環細胞(CTC)に対しても破壊効果を生むことができます。
光により光反応を誘発しがん細胞を破壊した際に、がん細胞の目印(抗原)が細胞外に放出されます。この抗原を体内に存在する免疫細胞が認識し、離れた場所にあるがん細胞にも攻撃を行います(アブスコパル効果)。がん光免疫療法では、がん細胞だけを選択的に破壊するので、破壊されるがん細胞の近くの免疫細胞の働きに影響を与えることなく、免疫活性が高い状態で抗原を提示することができるという特徴があります。一度の治療で長期間の効果が期待できるのも特徴です。

5.新型遺伝子治療

人の細胞は化学物質、放射線、紫外線など外的刺激により細胞が破壊され癌化になります。正常の細胞ならがん化を防ぐ機能が備わっています。この機能は細胞内の遺伝子に編集されており私たちの体を守ってます。がん遺伝子療法はがん遺伝子を再び細胞へ導入する治療です。点滴でがん遺伝子の投与により本来のがん抑制機能を回復し、癌細胞の増殖を停止し細胞の自殺に導きます。主なメリットはがん細胞にしか作用しないで、正常の細胞には影響を与えません。本治療はP53及びP16、PTEN、CDC6、Gankyrin sh RNA等5種類の遺伝子を合わせて静脈内点滴治療として行います。

P53 :P53遺伝子はがん抑制遺伝子の一つでこの遺伝子異常はヒトのがんの約50%に認められます。主にがんの発生と進展を抑制し、細胞分裂の調整やDNAの損傷の修復などに深く関与しています。p53を使うことでがん治療効果を促進しています。


p16 :多くのがん細胞にはp16遺伝子変異や活性の停止が認められます。p16遺伝子は主に細胞老化を誘導し、細胞の異常増殖を防ぎ、発がんを予防します。新たにp16遺伝子を導入することでがん細胞の無限増殖を抑制して排除します。

PTEN :PTEN遺伝子はがん細胞が増えすぎないようにブレーキの役割をするがん抑制遺伝子です。PTEN遺伝子は様々な癌において高頻度に変異が認められます。DNAのみならずタンパク質の異常も含めて約半数の悪性腫瘍でPTEN遺伝子変異を認めます。現在、p53とともにがん抑制遺伝子として位置付けられてます。正常なPTEN遺伝子を投与することでがん細胞の過剰な増殖を抑制して、アポトーシスへと導きます。

CDC6 :CDC6は細胞を増殖させるタンパク質の一種で、細胞分裂周期の調節因子の一つでもあります。CDC6の過剰な発現により、癌細胞分裂はコントロールできなくなり増殖し続けます。

さらに、がん抑制遺伝子の不活性化などが起こり、がんの進行につながってます。CDC6抑制RNAはRNA干渉という技術を応用して開発され、がん細胞が分裂するために必要なCDC6タンパクの発現を抑え、がんの増殖を停止し、細胞老化・消滅へと導きます。

ガンキリン抑制RNA (Gankyrin sh RNA): ガンキリンは、様々な悪性腫瘍で発現しており、悪性腫瘍の発生及び進展において中心的役割を果たす重要ながんタンパク質であります。さらに、ガンキリンはがん抑制遺伝子の殺し屋としても働いてます。ガンキリン抑制RNAはこうしたガンキリンの発現を抑えることで体内のがん抑制遺伝子が本来の働きを取り戻し、高効率にがん細胞の消滅を促します。

6.高濃度ビタミンC抗ガン療法

ビタミンCは強力な抗酸化作用をもっており、アンチエイジングの目的で使用されてきました。1970年代に高濃度のビタミンCは抗ガン作用を発揮することをノーベル賞学者のライナス・ポーリング博士が発表した以来注目を集めてきました。高濃度のビタミンCの点滴を行うとビタミンCは血管外に染み出します。ビタミンCは糖と非常に似た構造をしてますのでがん細胞はビタミンCを糖と勘違いし細胞内に取り込もうとするのですが、その過程でがん細胞はビタミンCが大量に産生した過酸化水素に破壊されます。この性質を利用してがんの治療を行います。
高濃度ビタミンC点滴療法は、現在、癌(がん)手術後の再発防止、癌(がん)の新たな補助療法として、米国・国立癌研究所(NCI)、米国・国立衛生研究所(NIH)において研究が進められている、最先端の癌(がん)治療法です。

7.分指標的薬治療

従来のがん治療薬は異常細胞だけでなく、正常細胞まで攻撃してきました。しかし多くのがん細胞は特定の遺伝子やタンパク質に異常を認められることがわかってきました。分指標的薬は個の特徴を利用してがん遺伝子により産生されるタンパク質などを標的として,その働きを抑えます。正常細胞を攻撃しないので従来のガン薬より副作用が少なく、長期的に使用可能です。

8.電場療法

人体内に電場を発生させ、局所的または部分領域における癌細胞の急速な細胞分裂を抑制し、これにより、癌細胞の物理的な破壊やアポトーシスを引き起こします。癌細胞は正常細胞より小さいため、正常細胞は破壊されません。抗がん剤に比べて、電場療法は薬剤耐性、蓄積毒性などの問題のない安全な治療法なので、長期的に渡り治療が可能です。また抗がん剤や他の癌治療との併用も可能です。
電場療法のメカリズムは、弱い中間周波数の直流電場をがんに向けて持続的に発生させる。電気が流れている周囲には必ず電場が生じる。電場は電荷を持つものを引き寄せる。早く増殖するがん細胞の分裂を抑える。などがあげられる。