【国際活動報告】長春腫瘍医院との中日合同がん診療MDTカンファレンスに参加
~胃がん・直腸がんの難治症例を検討、免疫栄養とQOLの視点から意見交換~
2026年8月29日、国際健康科学研究院(IRIHS)は、中国・吉林省の長春腫瘍医院が開催した中日合同がん診療MDT(多診療科合同)カンファレンスにオンラインで参加しました。今回の合同会診は、8月16日の長春腫瘍医院訪問および国際医療フォーラムで協議した「専門医による遠隔症例検討・がん診療分野における国際連携」を具体化する取り組みの一つです。
会診には、長春腫瘍医院の外科、腫瘍内科をはじめとする複数の診療科の専門医が参加し、当研究院からは東山建一理事長、藤高博士が参加しました。実際の検査画像や病理所見、治療経過を共有しながら、二つの消化器がん症例について多角的な検討が行われました。
■ HER2陽性進行胃がん―深い奏効後の治療方針を検討
第1症例は、HER2陽性の進行胃がんに対し、化学療法および抗HER2療法を行い、治療後のPET-CTで明らかな悪性所見を認めないまでに深い奏効を得た症例です。
外科医からは、これまでの治療反応を踏まえ、conversion surgery(転換手術)を含めた今後の治療選択について専門的な見解が示されました。東山理事長は、治療効果を長期的に維持するための免疫機能、栄養状態、筋肉量を含めた全身管理の重要性を指摘しました。藤高博士は、長期治療に伴う身体的負担にも配慮し、治療継続とQOL(生活の質)を両立させる患者中心の治療選択について意見を述べました。
■ 88歳直腸がん―再発予防とQOLを両立する術後管理
第2症例は、88歳の直腸がん患者で、腹腔鏡下直腸がん根治術後、病理学的にpT4aN2と診断された再発リスクの高い症例です。
外科医から高齢を考慮した術後治療について提案がなされ、東山理事長は、今後の治療に耐え得る身体状態を維持するため、術後の免疫栄養管理と体力・筋力の回復が重要であると提言しました。藤高博士は、高齢患者では再発予防だけでなく、食事、排便、睡眠、活動能力などを含む自立した生活を維持することも重要な治療目標であるとし、患者本人の状態と希望を踏まえた治療選択の必要性を示しました。
■ 国際連携による患者中心のがん医療へ
今回の合同会診を通じ、標準的ながん治療に加え、免疫・栄養、身体機能、QOLまでを総合的に捉えることの重要性が共有されました。これは、8月の長春訪問時に確認された「患者一人ひとりの生命とQOLを重視した医療・健康支援」という国際連携の方向性を、実際の臨床症例を通じて具体化するものです。
国際健康科学研究院は、今後も国内外の医療機関との国際MDT・症例検討を積極的に推進し、がん治療、免疫・栄養管理、QOL支援を統合した患者中心の医療連携の発展に貢献してまいります。

